白と黒のコーヒータイム

「なあ国見、俺にはない国見が求める恋愛条件っての?分かったら教えてくれよ。」

一人目標を設定して気持ちを奮い立たせる横に人が居たことをうっかり忘れていた国見は目をぱちくりとさせた。

思わず居たのかと呟きそうになるのを堪えて不敵な笑みを浮かべる名村をさぐる。

何か興味の奥にも含みがある気がして目を細めた。

「…あんたまた楽しもうとしてるでしょ。」

「いいだろ?協力費ってことで。なんせこの俺をサンプルに使おうとしているんだからな。」

痛いところをつく。

わざとらしく眉を上げる名村の悪そうな顔に国見は何も言えなくなってしまった。

やはり他人にサンプル扱いされるのは気分よくない筈だ。

改めて口にしてしまったことを後悔するが時は既に遅い、真柴も言わなければいいと言っていたのを思い出した。

「分かった…。」

それ以外国見に用意された返事は無い。

恋愛条件が見付かって名村に伝えたとしたら、もしかすると誰かよさそうな人を紹介してくれるかもしれないかと淡い期待を抱いた。

真柴も名村の友達なら国見に合う人がいるかもしれないと言っていたではないか。

「判明したら報告します。」

恭しく頭を下げてしまったのは未来に対する期待の現れかも。

満足そうに目を細める名村を見て、やはりこいつはいい男なのだと国見は盛大にため息を吐いた。


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そして美術館に行く日。

駅で待ち合わせをしていた国見と名村はさっそく目的地に向かい喧騒とは無縁の空間に足を踏み入れた。