「今度は恋愛小説でも読もうかな。」

そういえば雑誌の下部に今流行りの携帯小説を紹介する欄があったのを思い出したのだ。

胸キュンが足りないあなたにオススメ、そんな紹介文だったような気がする。

「でもな~俺様とか王子さまとか夢見過ぎちゃうと現実に戻ってこれない気がするな~。」

「…雑誌を読むなとは言わないけどな、話半分、参考程度の気持ちで読んだ方がいいぞ。」

呆れた名村の声をそれこそ半分聞き流していると自分のこの先を思い描いて目を細めたくなった。

一体何がいけないんだろう。

冷たいビールには美味しい料理と心許せる相手が一番いいということは分かるのに自分のことは難しい。

「私は何を見落としてるのかな。」

上手くいかない恋愛ばかりで憂うつになりそうだ。

自分の伴侶を見付けられた人たちのその目利きを教えてほしい半分、そんなものも無い様な気がして途方に暮れた。

国見優子には理想の相手の見つけ方が理解できない。