白と黒のコーヒータイム

「…ますます駄目だな。」

「なにが?」

目を細め呟いた名村に国見は首を傾げた。

おそらく全否定な感じがするがその理由や対象がよく分かっていないのだ。

「俺以上にリラックスできるような相手じゃないと国見は恋愛できないってことだぞ?」

さらりと爆弾を投下した後、名村は首を横に振りながら刺身に箸を伸ばした。

結構大きな爆弾の様な気がしたがそれは国見の中で小さく破裂する。

そうか、そう納得して持ち上げていたジョッキを机に下ろした。

これはショックだ。

「難しい…課題だ。」

名村はかなり気心が知れている同期でどれだけ同じ時間を過ごしても苦痛ではない希少な人間。

もちろん国見には女友達もいて彼女たちに比べたら多少は気を遣うが、親友と呼んでもいいくらいに名村には気を許していた。

この関係を超える相手を見付ける。

「超人名村に勝る人間…。」

「俺はサイボーグか。」

「ああ~…。」

名村のツッコミも聞き流してジョッキを握りしめたまま国見は何度目かの項垂れポーズをした。

名村とは最初からこれだけ打ち解けられていた訳ではない、ここにくるまでの年月があるからこその関係なのだ。

それをひらりと飛び越えられるような相手に出会えるだろうか。

「やっぱ夢は遠い…蜃気楼だ。」

自分でも何を言っているのか分からなくなっていたがとりあえず胸の内に溜めるのは毒だと吐き出した。