白と黒のコーヒータイム

「これまでの負け越しを考えるともはや夢物語の様よ…。」

「安定した恋愛ねえ。」

そう呟く名村を置いて着々と料理を頬張っていく。

心理的なものからきていたビールの苦みは緩和されて料理もお酒も美味しくなってきた。

「それってつまり結婚じゃないのか?」

改めて口にされたがやはり国見にはピンとこないようで首を傾げる。

「う~ん、私の中ではちょっと違うんだよね。結婚って響きは重くない?それにほら、雑誌にも焦るのは禁物って書いてあったし。」

「痛い思いをした雑誌をそこまで信じ込むか。」

「だから至って普通のファッション誌なの!服に罪は無い。」

本当にここにその雑誌があったら突き出してやりたかったと国見はプリプリしながらから揚げを口に入れた。

やっぱりここの料理は美味しい。

「あのさ、安定した恋愛なら長く付き合いたいってことだろ?最初から自分を作ってんじゃ無理な話なんじゃねえの?」

「最初からありのままの自分でいけって?それで失敗続きだったから雑誌の情報を取り入れてみたのに。」

そんなことは言われなくても分かっているのだ。

自分自身のありのままの姿を見て気に入って貰わなければ当然長続きする訳はない。

分かっていても上手くいかないのが世知辛い世の中というか、恋愛下手な自分のせいかと国見はため息を吐いた。

いっそ当分恋愛はいいやと休息期間に入ってしまった方がいいのだろうか。

「…国見のありのままってさ、どういうの?」

「え?」

改めて問われると意外に即答は出来なくて国見は宙を眺めた。