私が呆然とする中、間に日向が割って入ってきた。
「すいませんすいませんこの子頭がちょっとアレなんです、すぐ退かせますんで」
グイグイと私を押す日向に抵抗しながらも、江戸川を睨めつける。
忘れたなら思い出させるまでだ。
「朝、あなたにコーヒーもらったんだよ!」
焦ったように私と江戸川を見比べる日向。
私の初恋を、「誰かな?」なんて一言で終わらせてなんかやらないんだから。
にらみ続けると、江戸川はやがて、ああ!とわざとらしく声を上げた。
「あのやたら腹を抑えていた顔面蒼白のね」
……嫌な思い出し方だな。当たってるけども。
でも、思い出してくれたようだ。
「とりあえず、江戸川みたいな完璧超人にまたあえて嬉しい。これからよろしく」
す、と手を差し出す。――その時、チラリと江戸川が無表情に変わった気がした。
江戸川は私の手を数秒見つめ、そして手を握ってくれた。……と、思った。
