猪突猛進!!~毒舌男に恋をして~



「ねえ、廊下うるさくない?」


私は席を確認して、机に向かいながらそう愛理に尋ねた。因みに席は窓側の一番後ろ。なかなかラッキーだ。

愛理は少し考えて、ああ、と声を漏らした。


「さっき江戸川が廊下歩いてたから、それじゃん?同じクラスみたいだよ」
「江戸川?……あ」


私は頭に疑問符を浮かべ、一人の人物を探し当てた。
江戸川とは、学校でかなり有名な生徒。なんでもルックスも頭も運動神経もいいんだとか。去年のバレンタインにはダンボール5箱分貰ったらしい。
うちの高校は西棟と東棟でクラスが分けられていて、去年その江戸川とは別の棟だったから私は見た事がないけど。


「そんなに人気なの?こんな人だかり出来るなんて」
「まあ、そこらのアイドルなんて目じゃない位には。……あ、来た」


日向がドアの方を見る。私もつられてそちらを見ると、女の子が3、4人教室の中に誰かを囲いながら入ってきた。

その真ん中の人物が江戸川だろうか?頭一つ分抜き出て大きい。
しっかし噂通りカッコいいな。茶色いふわふわの髪に中性的な凛とした顔の――って。


「あああ!!さっきの!!」