「……はあ」
ミントの香りのするため息を一つ落とすと、その人は私に缶コーヒーを持たせて電車を降りていった。
気づけば、もう降りる駅だ。
「やばいやばい」
急いで電車を降りる。
そうだ、さっきの人は?
見渡したけど、混雑したホームでは確認することが出来ない。
……すごいかっよかったな。
頭がぼーっとした。片手にはコーヒー。既にお腹の痛みは引いている。
ドキドキする。
さっきの人の顔が忘れられない。掠れた声も、ミントの匂いも。
友達の愛理はこんな気持ちを、こう言ってなかっただろうか。
――恋。
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