一人でそんなことを考えて悲しくなる。
その時、蒼空に近づく女の子に気がついた。


「江戸川君、これお願いできるかな?」


小首を傾げてそう聞くおさげの女の子。
確か……小野しおりちゃん。初めて同じクラスになるけど、中学が一緒。多分日向が仲良かった気がする。うーん、ヤキモチ妬いちゃう。



「ああ」

蒼空はそれを受け取ると、しおりちゃんに顔を向けた。

「えへへ、ありがとう」

しおりちゃんは嬉しそうにはにかむと、ここから離れていった。

それを見て、私はギュッと胸が詰まるのを感じていた。


――蒼空って、普通にしゃべるんだ。私の事たまに無視するのに。

そう思うと、やっぱり自分が嫌われてるんじゃないかと思ってしまう。
私は蒼空に好かれてるとは言えないけど、それでも普通の女の子よりは仲が良いんだと自惚れてた。


でも……と、しおりちゃんの嬉しそうな笑みを思い浮かべる。

私とは正反対の大人しめで可愛い子。
あんな子が蒼空は好みなのかな。

そう思っては、涙ぐむのを抑えるしかなかった。