「ほんと、脳内お花畑の考えることって分かんない……」
勿論脳内お花畑はこいつのことだ。
ため息を吐きながら引き離すのを諦める。
と同時、大浜が「ねえ」とシャツの裾を引っ張ってきた。
「蒼空の息ってミントの匂いするよね」
……。
「……え?何、気持ち悪いんだけど」
これには流石にドン引きしながら、嫌悪感丸出しに大浜を見る。息の匂いを本人に言うか普通。
「いや、だっていい匂いするんだもん」
それでも大浜は気にする様子もなく近づいてくる。こっちに来ないで欲しい。
「何の歯磨き粉?」
「そんな質問されたの生まれて初めて」
「じゃあ私が記念すべき第1回だ」
「……第2回が来る事はないと思うけど」
そんな話をしていると、先生がバンッ!と教卓を叩いた。
「おい!江戸川と大浜うるさいぞ!!」
……あーあ、怒られた。
前を見ると、ニヤニヤしてるコタと目が合った。……後で殴ろう。
心の中で舌打ちしてると、隣で気味の悪い笑い声が聞こえた。
見れば、大浜が1人でクツクツと笑っている。
「……何」
話しかけるのもはばかられるけど、そう問うと大浜はニッコリと笑顔をこちらに向けた。
「蒼空も怒られるんだね」
……そりゃ、怒られるに決まってる。
当たり前の事を言ってるその笑顔は呆れるほど真っ直ぐで、俺もつい苦笑を浮かべた。
