「まあ、ぶっちゃけどうなんだよ?好きなの?」
コタは頭をこすりながら俺を見上げる。いつも身長165cmとか言ってるけど、多分そんなにない。
「好きじゃないってば。昨日の今日で好きになれるわけないでしょ」
言いながら、俺は確信を抱いた。そうだ、大浜じゃあるまいし、そんなすぐに好きになるわけがない。
「じゃあ気になってる?」
間髪入れず顔をずいっと押し出してきたコタ。
「ちょっと好きだろ〜ああいう真っ直ぐで猪突猛進な子。あいつを見る時の目キラキラしてるぞ」
俺が反応する暇もなくべらべらと喋る。もう1発チョップしてやろうかと手を出したら頭をガードされた。
「心が通うのに時間なんていらないんだぜ」
ニカッと笑うコタに冷ややかな視線を送る。
何ちょっとかっこいい事言ってんだか。
俺はため息をついて自席に戻ろうとした。既に篠崎はどこかに行ったらしい。篠崎の存在の有無で俺の行動が決まってるみたいで癪だけど、まあ事実だ。
と、コタが俺を呼び止めた。
「……あ、因みに俺しか友達がいないから情報が少ない蒼空ちゃんへニュース。幸太と華は別に付き合ってないぜ。華の親友曰く、華は幸太を友達としてしかみてないって。俺の豊富な情報網に感謝しろ」
最初と最後はともかく、その言葉に俺は目を見開いた。
いや、正確には自分に驚いた。
今、なんで――
「まあ幸太は華をどう思ってるか知らねーけどな。うかうかしってととられるぞ」
その言葉は既に耳に入ってきてなかった。
――今なんで、少し安心したんだ?