なんでこの人はこんなにクールなんだろう……。と内心でため息を吐く。後ろの気配にも気付かずに。


「はーなーっ!」
「うわっ!?」


そんな人懐っこい声と共に後ろから抱きついてくる腕。
びっくりして後ろを振り向くと、篠崎幸太がどアップで視界に映った。

篠とは中学校からの仲で、なんというか……悪友?私にとっては男子の中で1番仲がいい。もちろん女子を入れたら日向が1番。


「篠、危ないからやめてよ」


えへへー、と犬みたいな笑みを浮かべて離れる篠。昔っから犬みたいで人懐っこくて、女子からも人気。

そんなやりとりをしていると、蒼空は立ち上がってどこかへ行ってしまった。
ああ、まだ話したかった……。


「なあなあ、華って江戸川と仲いいよな」


後ろ姿もかっこいい蒼空の背中を見ていると、篠がそう言った。


「えっ!?そう見える!?」


興奮して勢いよく篠を振り向く。
でも篠の顔には暗い影があった。


「……あいつはやめとけよ」
「は?なんで?」


眉を潜めてそう聞くと、篠はニッコリと笑った。


「お前にはもっと相応しい相手がいるってこと」