「蒼空、凄いって言われるの嫌い?」
授業が終わると、次の授業の準備をしだした蒼空に聞いてみる。
蒼空にしては珍しく、1回でこちらを見てくれた。少し驚いた表情をして、なんで?と小声で聞き返してきた。
「凄いって言われた時イライラしてた気がして……」
そういえば、私が昨日蒼空に完璧超人と言った時も、少し無表情になっていた気がする。
「何で分かるの?」
何で、と言われても。
「好きだから……よく見てるのかな」
そう言うと、蒼空は呆気に取られたような顔をした。次いで苦笑とも言える笑みを浮かべる。
「俺が嫌なのは、自分の努力を流石って言葉で片付けられる事」
「努力?」
聞くと、蒼空はまた無表情になった。
「俺が最初から学年トップなわけないだろ。勉強して勉強してやっと取った1位なのに、それを当然のように思われたら良い気がしない」
他人には知ったこっちゃない事だから仕方ないけど、とため息混じりに言う蒼空。
そっか、だからあんな顔をしていたんだ。
悩んでいる蒼空には申し訳ないけど、なんだか私には親近感が持てた。遠くの存在だと思っていたけど、全然そんなこと無かったんだ。
なんだか嬉しく思っていると、蒼空が口を開いた。
「じゃ、今度は俺が質問する」
