「おはよう蒼空!」
次の日、元気よく挨拶するも華麗にスルー。蒼空は昨日とはまた違う本を読んでいる。
「ねえ、なんで無視するの?」
「うざいから」
今度は即答。そんなこと答えられても嬉しくない。しかもこちらを見向きもしない。
私は席に座ると、じっと蒼空の綺麗な横顔を見つめた。
穴が開くほど見つめていると、蒼空は明らかに苛立ちを込めた笑顔をこちらを見た。
「何?」
「いや……仕方ないから横顔でも見ようかなって」
「……仕方ないの意味がおかしいと思うんだけど」
蒼空はため息をつく。そういう動作ですらかっこいいからすごい。
あ、せっかくこっち見たんだから何か話しかけなきゃ。
「蒼空は好きなスポーツとかあるの?」
「特にない」
「嫌いなスポーツは?」
「特にない」
淡々と答える蒼空。明らかに答えるのを面倒くさがってる。
うーん、何か蒼空が興味もってくれるような話題ないかな。
「華、体育だよ!着替えに行こ!」
「あ、分かった!」
また何か話しかけようと思ったけど、また後でにしよう。
私は再び本に目を移した蒼空を見つめながら、教室を後にした。
