「えー。委員を決めようと思う」


おっほん、と大儀そうに咳払いをするのは我らが担任のハゲ山。

HRが終わると、早速学活で委員会決めがあった。江戸川はやっぱり学級委員かな?


「まずは学級委員を決めたいんだが、立候補者はいるか?」


ややあって、ハゲ山の視線がこちらにある事に気がついた。いや、正確には江戸川を見ている。

江戸川もそれに気がついているのか、はあ、と小さくため息を落とすと、スラリと手を挙げた。


「おお!偉いなぁ江戸川は!じゃあ次は女子!」


偉いって言ったってあんたが誘導したんじゃん……。

呆れたけど、今はそんな暇はない。江戸川が学級委員となった今、私も学級委員になるしかない。


「次、女子の学級委員な。立候補者は、」
「はーい!」
「はい!」
「私やる!」


ハゲ山が言った途端、女子が一気に手を挙げた。そりゃそうだ、みんな考えることは同じだよね。

ううん、ジャンケンで決めるのかな。ジャンケン弱いんだけど……。

そんなことを思っていると、ハゲ山が、言い忘れていたが、と続けた。


「今回は運動会の下準備とかあるから毎日7時まで残ってもらうぞ。もう一度手を挙げろ」


すると、一斉に女子のブーイングが飛んでくる。同時に沢山上がっていた手がどんどん下がっていった。

気付くと、私以外の女子は誰も手を挙げてない。
なにこれ、すごいラッキーじゃない?


「じゃあ、大浜で」


ハゲ山が呆れがちにそう言うと、黒板に書かれる『大浜』の文字。その隣に『江戸川』盗書いてある事がなんとも誇らしい。

え?毎日七時まで残って平気なのか?残念ながら私かなりの暇人だからそういう心配はいらないのです。