空に舞う桜



気が付けば、外はすっかり暗くなっていた。




障子を少し開けて、空を見上げた。




月が綺麗……




私のいたところじゃ、こんなに綺麗に見えないかも。




すると、足音が聞こえてきた。




「!!」




慌てて部屋の中に引っ込み、身を潜めた。




足音は、部屋の前まで来ると、ピタッと止まった。




「山崎くんは、こんなところに貴女を置いて行ったのですね」




この声……!




見知った声に、思わず障子を開けて、身を乗り出した。




「山南さん!」




「こんばんは、佐渡さん」




「山南さん、今何が起きているんですか?!

 今夜、何があるんですか?!」




すると、山南さんは困ったように笑った。




「おやおや、山崎くんが大分怖がらせて行ったのですね。

 何も聞いていないですか?」




「はい……」




「そうですか……。

 今は殆どの隊士が出払ってしまっています。

 私の目の届くところに来て来てくださいますか?」




「え?」




「こちらへ来てください。

 貴女が知りたがっていることを、教えて差し上げましょう」




そう言って、山南さんは私を手招きした。




案内されたのは、大広場。




いつも、会議が開かれたり皆でご飯を食べている所だ。




だけど、今は私と山南さん以外、誰もいない。




「座ってください」




正座をして、私を見上げる山南さん。




言われるがままに、私も腰を下ろす。




「今夜、新選組が奇襲をかける事は知っていますか?」




「はい」




「では、相手は?」




「そこまでは……」