空に舞う桜



「君は、今夜決してここから出るな。

 見張りが誰もいない今日、下手な行動をしたら、どうなるか分からないぞ」




「っはい」




あまりに真剣な目に、少しだけ恐怖を感じた。




ひょっとして、今から起こることって、けっこうすごい事なんじゃ……




「それじゃあ、俺は行くからな」




「あ……」




ピシャッと障子を閉めて、山崎さんは行ってしまった。




取り残された私は、呆然とするばかり。




引き留めようとして伸ばした手は、行き場をなくしてしまい、ゆっくりと降ろされた。




なんだろう、この感じ。




今まで感じたことのない空気。




重苦しくて、なんだか暗い。




もうすぐ、日が落ちるのかな。




私は、なんとなく正座した。




襲撃って、どこに行くんだろう。




……なんだか、落ち着かないな。




山崎さん、重要なことを教えてくれないんだもん。




少し、不安になるよ。




今、何が起こっているの?




今夜、何が起ころうとしてるの……?