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屯所の中に戻ると、皆がバタバタとしていた。
な、何が起きてるんだろう……
「佐渡!」
ボーっと立ち尽くしていると、山崎さんに声を掛けられた。
「山崎さん……」
「ちょっと来てくれ」
「は、はい」
いつもと違う、ピリッとした空気に自然と背筋が伸びる。
足早に部屋まで行くと、山崎さんは明かりも付けずに話し始めた。
「今、屯所の中が慌ただしくなっているのは分かるな」
「はい……」
「今夜、俺達はある場所に襲撃を掛ける。
そのための準備を今しているんだ」
襲撃……
小説やドラマでしか聞いた事のない言葉を、まさかリアルで聞くことになるとは思わなかった。
その異様な空気を響きに、思わず息を呑んだ。


