「そういえば、貴女とゆっくり話したことはありませんてしたね」
コトッと筆を置いたかと思うと、山南さんは私の方に体を向けた。
長くて黒い髪を後ろで1つにまとめた姿は、まるで絵に描いたように綺麗だった。
「私にも、未来の話を聞かせてくれますか?」
「はい!」
私が話をしている間、山南さんはニコニコしながら聞いてくれた。
嬉しくて、少し話し込んでしまった。
「千里ちゃん」
突然呼ばれたかと思うと、障子から沖田さんが顔を出していた。
「そろそろ、買い出しに行きましょう」
「あ、すみません、すぐ行きます!」
「おや、もうそんな時間だったんですね」
「話し込んでしまって、すみません。
ありがとうございました、山南さん」
「いえ、こちらこそ」
「では、失礼します」
ペコッと頭を下げて、私は部屋を後にした。
部屋を出て少し歩くと、隣を歩いていた沖田さんがピタッと足を止めた。


