「その……これ、使ったことが、なくて……」
恐る恐る口にしてみると、斎藤さんは黙ってしまった。
怒られるかな、こんな物も使えないのかって……
「……未来には、かまどがないのか?
ならば、どうやって食事を作るんだ」
「え、えっと、未来にはもっと簡単に料理ができる物が沢山あるんです。
だから、かまどは使ったことがなくて……」
私の話に、表情1つ変えずに、黙って耳を傾けてくれた斎藤さん。
その姿が少し怖くて、言葉尻が小さくなった。
お、怒った、かなあ……
じっと様子を伺っていると、斉藤さんは作業を止めて、かまどの前へと移動した。
「おそらく、お前の使っていた物と比べると、扱いが難しいと思う。
慣れるまで大変だと思うが、頑張れよ」
「え、はい……」
「教えてやる。
他にも分からないことがあったら、遠慮なく聞け」
「は、はい!ありがとうございます!!」
よ、良かったぁ……
斎藤さん、クールで無口だけど、優しい人なんだなあ。


