幹部全員が部屋を出た後、俺と副長は向かい合って座った。




「……信じきったわけじゃねえからな」




何を、と言わなくても、何のことかは分かった。




短く、「はい」と返事をして、次の言葉を待った。




「悪いが、俺はあいつに情が沸いたから、ここに置くわけじゃねえ。

 あいつは、俺達の知らない情報を持っている。

 今後、必ず使えるはずだ。

 そのために、手元に置いておく」




副長の目は、いつも冷たい。




今だって、そうだ。




色々なものを見てきた目だ。




沢山のものを失い、そして守ってきた。




組織のためを思い、考え、行動してきた。




だから、この言葉が、副長の本心であるというのも、分かった。




「佐渡は、新選組の未来を知っている。

 俺は、あいつを使えるだけ使うからな」




「……それが、組織のためならば」