空に舞う桜


「そんな、そんなことありません!

 新選組の事は、歴史の教科書にだって載ってますよ!」




「それは誠か!」




大柄な男の人は、目をキラキラさせて私を見てきた。




彼だけじゃない。




山崎さんの、あの怖い顔の副長さんだって、なんだか嬉しそうだった。




「はい、新選組の名前は、とても広がっています」




一番有名なのは、池田屋事件だよね。




これを話せば、信じてくれるかも。




「新選組の一番有名な話が……」




すると、突然、私の心臓が大きく脈打った。




――――ドクンッ




「え……」




走ってもいないのに、鼓動が早くなる。




それと同時に、喉がカーッと熱くなった。




「かっ……かはっ……!」




あ、熱い……!




喉が……焼けそう……!!




池田屋事件の事を話そうとしただけなのに、体に突然の異変。




言葉を発するのはおろか、呼吸をするのさえままならない。




「っく、あ……はっ……」




「おい、どうした!大丈夫か?!」




山崎さんが、慌てて私の背中をさする。