空に舞う桜



そして、山崎さんの前にスッと差し出した。




「何だ、これは」




「えっと……スマホです」




「すまほ?異国の言葉か?」




「あ、すみません。

 これは、スマートホンと言って、持ち運びができる電話です」




「でんわ?」




あ、もしかして、この時代に電話はないのかな……?




「ええっと、電話というのは、簡単に言うと遠くの人とお話しができる機械です

 それだけじゃなくて、このスマホなら調べものをしたり、音楽を聴くこともできるんです。

 だけど、訳あって今は使えないんですが……」




でも、と私は話を続ける。




「お話も、調べものも、音楽を聴くことも出来ませんが、写真を撮ることは出来ます」




「写真を?」




「はい」




そう言って、私は山崎さんにレンズを向けた。