空に舞う桜





2人が部屋を立ち去って、急に静かになった。




島田が、微笑みながら口を開く。




「佐渡さん、とても好かれていますね」




「ああ、そうだな」




「皆さん、初めはあんなに好奇の目で見ていたのに。
 これも、彼女の人柄によるものなんですかね」




「だろうな。
 彼女は心の優しい娘だから」




だからこそ、あんな顔をさせたのが心苦しい。




彼女には、笑っていてほしいんだ。




もう、辛い思いをするのはたくさんだろう。




「山崎さん、未来は……この先の時代は、少女が人の血を見ることのない程、平和な世界になっているのですね」



島田の言葉に、俺は黙って頷いた。




戦や、斬り合いを知らない少女が、あんな現場を目の当たりにして、どれほど恐ろしかっただろうか。




知らない土地で、頼れる人もいない。



どれほど孤独だろうか。




きっと、今だってそうだ。




だが、これからは俺が守る。




決して、佐渡を1人になどさせない。