時期はずれの桜は満開で、私はしばらく見とれていた。




すると、神社のほうから、おじいちゃんの声が聞こえた。




「おーい、千里ー!

 手伝ってくれー!」




「あ、はーい!」




いけない、戻らなきゃ。




そう思って、道を引き返そうとした時




“待って”




「え?」




桜の木から声が聞こえて、私は足を止めた。




……空耳かな。




そう思って、もう1度足を踏み出そうとすると




“行かないで”




「!」




また、声が聞こえてきた。




空耳なんかじゃない。




私は、桜の木に駆け寄った。




この桜の木は、言葉を話してるんだ!!




そう思った直後、また桜の木がしゃべった。




“お願い、助けて”