思わず耳を塞ぎたくなるような、怒号と叫び声が響き渡る。
中からは、ドタバタと暴れまわる音が聞こえる。
こんなの、見なくても分かる。
今、中はきっと戦場だ。
もしかして……私は、とんでもない場所に来てしまったんじゃないだろうか。
そう思った瞬間、足がすくんで、体が固まった。
「ぐああ!!」
ザシュッと2階の障子に、血しぶきが付いた。
「ひっ……!」
パッと口を覆った。
今、あそこで誰か殺された……
知らない人かな……それとも、新選組の誰か……?
怖くなって、周りを見てみても、皆平然としている。
どうして?皆、怖くないの……?
「は、は、原田さん……」
唇が震えて、上手く言葉が出てこない。
それでも、なんとか隣に立つ人の名前を呼んだ。
「ん?どうした、佐渡」
「あの、今、人が……」
「ああ、悪いな、いきなりこんな所に連れてきて。
だけど、人が斬られてるのくらい、見たことあるだろ?」
「え……」