放課後、部活がある美咲ちゃんと分かれ、私は真っ直ぐ家に帰った。
私は部活に入ってないんだけど、家でやることがあるから、学校が終わったら、いつもすぐ帰らなきゃいけないんだ。
「ただいま、おじいちゃん」
「おお、帰ったか千里」
私が帰ると、神職の服に身を包んだおじいちゃんが出迎えてくれた。
そう、私の家は神社なんだ。
おじいちゃんは、その神社の神主さん。
娘の私も、巫女では無いものの、お手伝いがあるから、部活には入れないんだ。
巫女服に着替えて、髪を2つに結うと、私は箒を持って庭に出た。
小さな神社だけど、春には桜が咲くし、秋になるとイチョウが葉っぱを黄色く色付けるんだ。
まあ、今は桜もイチョウも咲いてないけどね。
まだ緑の葉を生い茂らせてるこの木は、あと少しで綺麗な紅葉に変わる……
一通り、地面を掃いて、後少しで終わるかと思った時
足元で、ピンク色の何かが舞い上がった。
「ん?」
不思議に思って拾い上げると
それは、桜の花びらだった。
「え……」
こんな時期に、桜?
狂い咲きかな?
ふと、顔を上げてみると、私の前には桜の花びらがポツポツと落ちていた。
まるて、私を導くかの様に1本の線となって。
変なの。
そう思いつつも、私は桜の花びらを辿った。
ちょっとした好奇心から。