準備室の中から微かに物音が聞こえ、あたしたちはどちらともなくその場から少し離れた。
生徒用の玄関に近い窓辺で足を止める。
「もしも本気で付き合ってるなら、聞いてるはずだよね」
「……」
「ずっと前から辞めることは決まってたみたいだし」
下駄箱で靴を履き替える生徒たちに聞こえないようにか、千紗は声は小さくなった。
それに反比例して、あたしの心臓はどくどく、と響きだす。
「つばさ、柏村のこと、本気なの?」
「…っ」
まるであたしが、知らされてなかったから本気じゃない、そう言いたげな口振り。
今一番辛いところを更に、研いだ爪で引っ掻かれたように。痛い。
「あたし昨日ね、謝ろうと思ってカラオケから出たつばさを追い掛けたの」
「…え?」
「高田くんと、別れたから…」
千紗の瞳には、真っ直ぐにあたしが捕らえられる。
「他にも付き合ってる女がいたんだよ。つばさを裏切った、罰だよね…」
「……」
高田くんにそんな一面があるのは、本当だったんだ。
体育の時間に聞いた、マユの話を思い出す。

