柏村先生が、辞めるって
この学校から、いなくなるってこと――?
先生が、
『まあ実際問題、クビだろうな』
あたしの前から
いなくなってしまう
どうして――
「つばさ!ずるいよ見学なんてさー」
授業が終わり、駆け寄って来た芽衣ちゃんがあたしの前で、不満そうな顔をしている。
あたしはそれを無言のまま、虚ろな目で見つめ返す。
「おーい?早く戻ってお昼食べようよ」
「あ、う、うん…」
頷く、というとても簡単な動作に時間が掛かった。
芽衣ちゃんのくりっとした大きな瞳に顔を覗き込まれるけど、うまく焦点が合わない。
「つばさ、さっきからなんだか調子悪そうだね」
芽衣ちゃんが心配してる。でも、相談するわけにもいかない。
出来る限りの笑顔で大丈夫、とだけ返して、覚束ない足取りで体育館を出る。
だけど、歩いてる、って感覚がまるでない。ふらふらと宙を、彷徨っているみたい。
廊下は学食や購買に行く生徒たちで溢れていた。
すれ違う人とぶつかりそうになって、とっさに顔を上げる。「――っ!」混み合った廊下でも、すぐに、見つけられる。先生の、後ろ姿。

