すっかり肩の力が抜け落ちたとき、「まあ実際問題、クビだろうな」先生の声のトーンが変わった。
「俺はそれで済んでも、お前は噂されたり、嫌な思いたくさんしちまうな」
腰掛けた椅子の背もたれに深く体を委ねて、あたしに言う。「怖い?心配?」
優しく、うかがい込むような眼差し。
「やめる?」
「や、やめるもなにも…」
あたしはまだ、先生のことを好きになり始めたばかりなのに。
だから先生、あたしは安心する言葉が欲しい。大丈夫だよ、って、そう言って欲しいのに…
「違いねぇな。」
「…へ…?」
そう願えば願うほどに、先生の表情は曇りがちになってゆく。
あたしを見る瞳には、安心感ではなく、不安げに見つめ返すあたしが映るだけで。
「お前の気持ち、俺聞いたことねぇし。全部、俺がしでかしたことだから」
そこで立ち上がると、パンツのポケットに手を突っ込んで、足元に視線を落とした。「今ならまだ、全部俺のせいにして、引き返してもいいんだぞ」
予鈴が鳴った。
校内が、慌ただしく動きだす。比例するように、あたしの心も騒々と鳴りだした。

