ベイビー クライ


予鈴が鳴って、千紗は固まるあたしを一瞥すると、教室に戻った。
それをただ周辺視野内で見届けて、あたしはようやく呼吸することを思い出した。


『つばさと柏村が、一緒のとこ』


――バレた。

千紗はどの辺を見たのだろう。
ただ、カラオケ店の前で話してるところ?手首を引かれて歩いてるところ?

それとも


『もしそういう関係なら、別れた方がいいよ』


先生の胸の中にすっぽりと、あたしの体が収まっているところ…

担任がやって来て、早く教室に入るようあたしを促す言葉が遠くで聞こえる。
両足を交互に動かして、席につく間中、なんとか頭の中を整理しなきゃ、と思った。


千紗は、誰かにバラすつもりなのかな。
別れなければバラす、そう脅されたような気がした。


『早く、俺のものになればいいのにな』


先生、
バレたらあたしたちの関係は、一体どうなっちゃうのかな。
先生のこと、このまま好きになり続けてても、いいのかな。


「…っ…」


授業が始まっても、教師たちの声は右から左へと抜けてゆくばかり。