廊下の窓から、登校中の生徒たちを見下ろしていた千紗が、振り向いた。
バレンタインから接触を避けてきた、一ヶ月以上のブランクが、重い空気となってあたしたち二人の間を漂う。
「…あたし、昨日見た」
てっきり、高田くんの話題を振られるのだとばかり思っていたあたしは、「へ?」間の抜けた声が出た。
見た、昨日って…
カラオケのこと?
頭の上に疑問符を浮かべるあたしを、千紗は険しい面持ちで見つめ返す。
「つばさと柏村が、一緒のとこ」
「…っ」
声を失った。
心臓に大きな雷が落ちたみたいに、ドクンと強く胸を打ち付ける。
あたしと先生が、一緒にいるところを
――見られた?
「た、たまたま、カラオケの外で会って…っ」
「もしそういう関係なら、別れた方がいいよ」
あたしの言葉を堂々と遮った千紗は、窓の縁に両腕を置いてため息を吐いた。
それがとても退屈そうなため息で、怪訝に思い口を閉ざしたあたしから、千紗は目をそらした。
「…学校にばれたらヤバいんじゃないの」

