難解な数学の公式はとても理解できないけれど、先生が教えてくれるんだ、って思えばあたし、今よりもっと頑張れるかもしれない。
次の実力テストも、三年に進級してからのテストも、すべて。卒業するまで、ずっと。
先生が、好きで教えてくれてる教科なら、クラス中の誰よりも、得意になれそうな気がするの。
「つばさーっ!」
次の日。
朝からひときは元気な声であたしを呼ぶのは、残念ながら先生じゃない。
というか先生は、名前でなんて呼んでくれた試しはないのだけれど。
「芽衣ちゃん、おはよー」
駆け寄ってくる相手に、満ち足りた心持ちで返事をしたら、「おはよ、じゃないよ!もうっ」がつんと、怒られてしまった。
「なんで昨日帰っちゃったのよ!せっかく盛り上がってたのにぃ」
「ごめんごめん、ああいう空気、なんか苦手で…」
目の前で両手をぱちんと合わせれば、それまで怒り顔だった芽衣ちゃんも、途端に眉を降下させる。
「ま、仕方ないか。あたしも合コンだって最初から言わなかったのが良くなかったし」

