ベイビー クライ


だって、呼吸をしただけで。
漏れる吐息がいちいち、“あたし緊張してます”って、発してるかのように錯覚されて、照れ臭くてたまらないんだもん。

息苦しくて、窒息しそう。


「送ってくから。帰るぞ」


あたしの体を解き放した先生の右手が、今度は優しく頭を撫でる。
意識してしまうなんて、おかしいかな?「…っ」

先生も、あたしよりすごく、すごく大人なのに。あたしと一緒にいて、胸がドキドキするのかな、って。


本気なのかなぁ、って
思っても、いいですか


「…っはい」


先生を、どんどんどんどん、好きになってもいいですか――


並んで歩く駅までの道のりは、まるでワープしてきたみたいに、距離がやけに短く感じた。
周囲をうかがいながら、再び煙草を指先に挟む先生。
その数歩後ろで、せめて服の端でも掴みたくて、手を伸ばしては、しまう、あたし。


「…冷えてきたな」


夜空に浮かぶお月様を見上げて、寒色系の息を漏らす先生。
包み込みたくて伸ばした手を、再びしまう、意気地なしなあたし。

このもどかしい距離は、いつか縮めることが、できますよね――?