真ん丸に目を見開くあたしを覗き込み、ふっと眉を下げた先生。
「へ?どういう意味ですか」
「…ま、なんでもねーよ」
あたしを映す先生の目が、ちょっと翳りのある眼差しのような気がした。
周りを行き交う人を確認して、大通りから反れた路地にあたしの手を引く。
…そっか、先生と生徒って、周りにばれたら大変なんだ。
ここにきてようやく、あたしはそういった大人の事情、世間の目というものにはっとした。我ながら、鈍感だよなぁ、と思う。
「…お前なに、んな顔してずっとカラオケ屋にいたわけ?」
通行人がほとんどいない、カラオケ店の裏通りに来て、先生があたしの手首を放す。
鈍感だから、自分の顔つきまで気にならなかった。
「つまらなそう、ですよね」
そうですよね、誰が見ても、つまらなそうな顔、してますよね。
自嘲気味に心の中で繰り返すあたしに対して、一方の先生は、真面目な面持ちでかぶりを振った。
「全然。真逆」
「、え?それは本当ですか」
楽しそう、ですか?

