初対面の人の中にいる居心地の悪さに加えて、気まずさに、胸が押し潰されそう。
知らない男の子を挟んで千紗の隣に座り、メニューを見る振りをしてちらりと千紗の方を見る。
あたしが来たことには気付いてるはずなのに、お構い無しに男の子と楽しそうに話していた。
「芽衣の友達?」
メニュー越しに目が合ったのは、千紗ではなく隣に座った男の子だった。
「あ、う、うん」
「名前は?」
「…つばさ」
「そう、つばさちゃん。飲み物決まった?」
流れていたロックが止んで、次の歌が始まる間に会話を済ませたいのか、男の子はやけに早口でまくしたてる。
メニューの端を両手で持って顔を深く隠すと、その中にため息を閉じ込めた。「まだです…」
…コーヒーにしようか、それともメロンソーダにしようかな
迷ってる間に次の曲の前奏が始まって、盛り上がり出す前に、本意ではなく勝手に聞こえてきた会話。
「千紗ちゃんって、彼氏とかいるの?」
「……ううん、いないよ」
…コーヒーか、メロンソーダか。そんなのどっちでもいい。
選んでる余裕なんて、なかった。

