やって来たカラオケ店は、何度か芽衣ちゃんと来たことのあるところ。この町には、あまり若い人が遊ぶ場所がない。つまり、田舎、なのだ。
その事情を裏付けるように、入店してすぐにクラスメートとばったり会った。ここは、近隣の学生御用達。
「友達連れて来たよー!」
部屋にはすでに、クラスの女の子と他校の男子たちが数人いて、ロックが大音量で流れていた。
「芽衣、久しぶりー!」
「遅かったなー」
入り口で足を止めるあたしの背中をとんと押して、「ごめんごめん!」マイクを通した声に負けないくらい声を張り上げた。
クラスメート以外、男の子は見知らぬ顔ばかり。
けれども、席が空いてる場所に手招きをする男の子の陰に、見知った顔があって、あたしは目を疑った。
その視線に気付いたのか、芽衣ちゃんが耳元に口を近寄せる。
「千紗もね、教室出るときに暇そうにしてたから誘ってみた!」
あたしたちの事情を知ってる人はいないから、仕方ないのだけど。「…そ、なんだ…」

