君とのキスの意味

無言になってしまった彼女を、強めに呼ぶ。

ハッ!とした水野君が、振り返りながら、俺を見上げた。

「!!」

頬を赤く染め、瞳は潤んでいた。何かを言いたげに、艶のある唇は、半開きになっている。

逸らしたいのに、目が逸らせない・・・

それでも見つめあったのは、一瞬だったと思う。

「メモ、しなくていいの?」

フッと視線を逸らして言うと、水野君も慌てて動きだす。

「しっ、します!」

なぜ・・・なぜ、そんな顔をする・・・

自分のデスクに戻り、ソッと右手で口元を覆う。

俺は今、どんな顔をしてる?赤くなってる?顔に、変な汗はかいてないよな・・・

水野君をからかったはずなのに、彼女の表情に、心臓を掴まれたようだった。

うるさい鼓動を静めるように、ゆっくりと息を吐く。

チラッと水野君を見る。

一生懸命メモしていたかと思ったら、まだ、うっすらと赤い頬に右手を当てる。

大丈夫・・・俺の事は、見ていない・・・

不意に水野君が俺を見て、目が合う。

「ニヤッ」と笑う。