毎週木曜日 午後7時 近くの公営野球場で練習する事になっている。

毎週のように練習をするようになって、水野君のいろんな姿が見られるようになった。

一緒にキャッチボールをしたり、準備運動をしたり。

ああ・・・あれは、やられたな。

準備運動で、突然「鬼ごっこをしよう!」と言い出した時もびっくりしたけど、遅れて行ったら、いきなり“ 鬼 ”だった水野君に捕まった。

そして「今日は“ 手つなぎ鬼 ”をしています」とか言われて。

いやあ、あれは焦った。平気なフリをしていたけど、かなり緊張した。

緊張をごまかしながら出した俺の手を見て「無駄に大きい」なんて言うから、水野君の手と比べてみた。

あの時は、はっきり言えなかったが、水野君の手は小さいだけでなく、なかなか不細工だった。

その事を気にしているように見えたので、軽くからかう程度にとどめておいた。

『脇腹モミモミ』とか言って、みんなの脇腹をこっそりくすぐり始めた時も、みんな笑って水野君のやる事を許した。

お互いの反応が笑えたし、一番は、水野君がかなり近付いて、自分に触れてくるという事を、みんな秘かに喜んでいた。