どうしてそんなに必死に言うのか、不思議に思いながらも「わかってる」と答えた。

「あと、もう一つだけ・・・今日の雪乃の話、しっかりと聞いてあげてください!」

そんな事?と思いながら「ちゃんと聞く」と答えて、電話をきった。

「もう!久美ったら・・・」

白石さんの瞳が、潤んでいるように見える。

「白石さんが今の気持ちで周りを見れば、白石さんの事を、きちんと見てくれる人は、絶対いるから!」

白石さんは、笑顔で頷いてくれた。

「あの、塚本さんのお願いって何ですか?」

「あ~・・・こんな時に言うのもあれだけど。“ 彼氏のフリ ”をした事情を、話したい人がいて・・・いいかな?」

頭を掻きながら言うと、白石さんはクスッと笑った。

「いいですよ。その人は、水野さんですか?」

「えっ!?まぁ、うん・・・」

顔が、熱くなるのがわかる。

「野球大会の時、私、意地悪をしてしまいました」

肩を竦めて、白石さんが言った。

「意地悪?」

コクンと、白石さんは頷いた。

「昼休憩が終わる頃、塚本さんと水野さんが、一緒に帰ってきましたよね?」