君とのキスの意味

結局、水野君と一緒に事務所を出る事になった。

「寒くなったね~」なんて話しながら歩く。

何も話せない時に限って、こんなチャンスがあるのか・・・

外に出て少し歩いた所で、水野君に呼ばれた。

「塚本さん!」

「ん?」

水野君に視線を移す。上目遣いで俺を見ながら「フフッ」と笑った。

その、いつもと雰囲気が違う笑みにドキッ!とする。

「この前の飲み会の時、塚本さん、私に何かしたでしょ?」

「えっ⁉」

俺は目を見開き、立ち止まってしまった。

とっさに何の言葉も出てこない。頭の中が、真っ白になる─

「・・・覚えてたんだ」

ようやく絞り出したのは、そんな言葉だけ。水野君は、戸惑ったように言った。

「前後の記憶は、飛び飛びなんですけど、その事は、なぜかはっきり覚えてて・・・」

なんだ、そうか・・・キスした事を、水野君に言うべきか?なんて悩んでいたけど、そんな事、意味なかった・・・