「紙が見当たらないね」

部屋を見回していると、赤野が困った様に首を傾げる。

中の液体が少し減ったワインボトルや赤ワインの注がれたワイングラスは目に付くが、指示の書かれた紙は見つからなかった。

「この部屋には何も無いのかしら?」

「だったら、あの扉は開いてるのかな?」

赤野は入って来た扉の向かいにある赤い扉を指差した。

「だと良いんだけど……」

私がドアノブを回すと、赤い扉は簡単に開いた。

「おぉ」

赤野が思わず声を上げた。

赤い扉の向こうは2階へと繋がる階段が続いていた。