緊張と恐怖心で全く空腹を感じないが、何日も屋敷から出られないかもしれないと考えると、クッキーでも貴重な食料になる。

念には念を、という事だ。

「次に進むわよ」

私は扉に手を掛けた。

ゴクリと唾を飲み込んでドアノブを回し、新たな部屋に踏み込んだ。

「食堂ね」

今までの部屋の倍以上は広いであろうこの部屋は、ふかふかの深い赤色の絨毯が床一面に敷かれていた。

部屋の中央には長いテーブルが高級そうな絨毯を踏み付け、その上には未使用のお皿や、フォークにスプーン、ナイフが並び、これからフルコースが運ばれてきそうな雰囲気を出していた。

「誰かが居るみたいね」

長い間放置されていたのなら、埃がかぶっているはずなのに、食器たちはキラキラと輝き、手に取ったスプーンは私の顔を映し出していた。