炎のせいで部屋の温度が上がる中、私と赤野は水道と鉄格子の間を往復していた。

汗が顎からポタポタと滴り落ちる。

何度も赤野と協力してオーブンを包み込む炎に水を掛けたが、全くの無力だった。

結果、谷原はオーブンの中で焦げた肉が付着した骨になってしまった。

私と赤野は無言のまま、自分たちの足元を見つめた。

死を宣告された者を助ける事は出来ないのだろうか。

ゴゴゴゴゴゴォ……

ゆっくりと音を立てながら、目の前の鉄格子が天井に消えて行く。

カチッ……

どこかでカギの開く音がした。