「水!水で火を消すわよッ!!」

私と赤野は大きめのボウルに水を注ぎ、鉄格子の所から炎に向かって水を投げ掛ける。

だが、水は一瞬にして蒸発してしまった。

「これじゃぁ……」

「意味が無いわ」

炎の勢いは止まらなかった。

ピリピリと谷原の肌が痛む。

目頭や耳周辺が他よりも熱くなり、熱を持った眼鏡のせいだと理解した谷原は慌てて眼鏡を投げ捨てる。

「熱い熱い熱いッ!!出してッ!ここから出してッ!!」

涙は頬を伝い終わる前に蒸発してしまう。

薄い瞼では熱から眼球を守れず、痛みに苦しむ谷原は両手で顔を覆った。