「ダメだわッ、ビクともしない」

赤野も加わったが、結果は同じだった。

どこかに鉄格子を上げるスイッチは無いかと、首を動かすが見当たらなかった。

「折笠さんッ、あれッ!」

視界の隅がオレンジ色に輝いたのと、赤野の焦る声はほぼ同時だった。

顔を上げると、谷原が閉じ込められているオーブンが炎に包まれていた。

「ぃゃぁぁぁあああああッ!出して出してッ!!助けてッ!早くッ!!」

谷原の恐怖は最高潮になり、オーブンの扉を叩く力が強まる。

燃え盛る炎のせいでオーブン内の温度は急上昇。

眼球の水分が蒸発して痛い為、目を閉じて谷原は泣き叫ぶ。