そう言って廊下の様子を伺おうと、ゆっくりドアノブを回すが、何かに引っかかる。
「えっ、嘘でしょ……?」
強くドアノブを回しても、勢い良く回しても手応えがない。
「開かない……カギが掛かってるわ」
この扉にはカギなど付いていないのに、何度ドアノブを回しても開く気配は無かった。
「閉じ込められた……」
どうやら、穴だらけな記憶のレシピで作るしかないようだ。
「クッキーなら、私得意ですよ」
谷原は調理台に並べられた材料を一つ一つ真剣な眼差しで確認しながら、中指で眼鏡を押し上げる。
「でも、そのレシピ本通りじゃないといけなかったらって思うと怖いですけどね」



