私と目を合わせたレンズの奥の瞳は真っ赤に充血していて、痛々しかった。

長い間、真っ暗なクローゼットの中に居たのか、部屋の頼りないロウソクの明かりにすら目を細めた。

眼鏡を外して服の袖で涙を拭う彼女にハンカチを差し出す。

「ありがとう……ございます……」

「私は警視庁の折笠玖美。彼は赤野青羽君よ。貴方の名前を教えてくれるかしら?」

落ち着いてきた彼女に聞く。

「私は谷原彩乃と申します」

扉の開いたクローゼットに腰掛ける谷原から湿ったハンカチを受け取った。

「貴方はいつからここに?」

「……今って、何日の何時ですか?」