クローゼットの中には固く目をつぶり、両膝を抱えて震えている髪の長い眼鏡をかけた女性が居た。 悲鳴はもちろん小さくなっている彼女から発せられたものだ。 赤野は泣いている彼女を見て驚いたのか、クローゼットから離れてしまった。 「大丈夫……?」 前に出て、泣いている彼女の肩に触れる。 「イヤッ!やめてッ!!」 再び悲鳴を上げて体を硬直させる。 「大丈夫だから、私たちも貴方と同じ様に閉じ込められたの」 「……ふぇっ?」 彼女は涙に濡れた赤い瞼を持ち上げた。