「あ、いえ、私は大丈夫なので。せっかく来てくれたんだし、このままここに居させてあげても……」
「ダメです」
若い看護婦は首を振った。
「赤野君も折笠さんも、まだ絶対安静状態なんです。先生の許可が下りるまで病室から出ないで下さい」
若い看護婦は溜め息混じりに注意すると、松葉杖を持つ赤野の背中に手を添えて歩き出す。
文句を言う若い看護婦にたじたじな赤野を眺めていると、扉の前で突然赤野は立ち止まった。
「また来るね!」
「ダメですってば!」
振り返った笑顔の赤野に手を振ると、赤野と若い看護婦は廊下に消えて行った。
病室の扉が閉まっても、何やら言い合いをしている二人の声が聞こえてくる。



