「生憎、俺は経験済みだよ」 赤野は口角を上げる。 目を見開くアルラウネはゆっくりと赤野から離れ、自分の胸を見下ろす。 アルラウネの左胸には、赤野が持っていたイエスのナイフが深々と突き刺さっていた。 「ぁあッ!よ、よくもッ!!」 赤野は悲鳴を上げるアルラウネに、歯を見せて笑った。 ナイフは赤野のウエストに差し込んでいたが、イバラが巻き付く前に袖にでも忍ばせていたのだろう。 「やったわ!」 勝ったと思った。 奇声を上げて怒るアルラウネだったが、その声がピタリと止む。